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臨床応用を目指した産学連携セミナー2

RNAi応用技術最前線セミナー

オーガナイザー:古市泰宏 先生(ジーンケア研究所所長/聖マリアンナ医科大学客員教授)

2005年11月9日、東京・こまばエミナースにて開催

 2005年11月9日に、東京はこまばエミナースにて臨床応用をめざした産学連携セミナー2「RNAi応用技術最前線セミナー」が開催されました。

 RNAiは、下等動物ばかりでなく哺乳動物にも適用が可能となったことを受けて、創薬開発の基礎研究としてポストゲノム時代に対応した非常にハイスループットな遺伝子機能解析や創薬ターゲットの同定を可能にするばかりでなく、究極の分子標的治療薬としても現在大きな注目を集めています。
 オーガナイザーであるジーンケア研究所の古市泰宏先生から本セミナーの冒頭で、RNAi医療の利点について、低分子化合物と異なり理論上すべての遺伝子をターゲットにできること、また複数種類の併用が可能で、さらには特異性が非常に高くしかもすみやかに代謝されるために副作用を起こす心配が少ない等の解説がありました。
 ジョンソン・エンド・ジェンソンの中島元夫先生による、海外のメガファーマや創薬ベンチャー企業の動向についての講演にあったとおり、アルナイラム社をはじめ海外のベンチャー企業の中にはすでにRNAi医療の臨床試験を進めている企業が存在し、海外のメガファーマもこれらの企業と積極的に提携を進めていることが、従来の低分子化合物の医薬品や抗体医薬品などと比較して、RNAiがそういったいくつもの大きな利点を兼ね備えていることを裏付けています。

オーガナイザー
古市泰宏先生

 (ジーンケア研究所所長)
 東京都臨床医学総合研究所の小原道法先生とジーンケア研究所の嶋本顕先生からは、それぞれC型肝炎などの感染症と癌を対象としたRNAiを利用した治療薬開発の実際、ならびに最新の研究成果についてのお話がありました。
 C型肝炎のようなRNAウイルスは、細胞質内に局在してゲノム複製を起こすことから、RNAi治療薬の絶好のターゲットとなることが期待されます。しかし一方で、塩基の置換によって生じた変異ウイルスが特異性の高いRNAiから回避して増殖することがRNAi治療の大きな問題点となっていました。
 しかし、小原先生のグループでは、IFNを誘導しない修飾を施した長いdsRNAを細胞に導入し、内在性のDicerを利用して細胞内でsiRNAを作製することで、わずかな変異でもRNAi効果を充分に保てることを発見しました。有効な治療薬候補として現在さらなる開発が進められています。
 一方、嶋本先生からは、自身のグループで研究を進めている癌細胞を特異的にアポトーシスに導くRNAiの開発について解説されました。また、RNAiを治療薬として用いる際には、細胞内での安定性とデリバリー技術が大きな課題になると前置きされた後、これを解決するために、siRNAにコレステロール付加等さまざまな修飾を施すことが重要であることを実データを交えてお話されました。
 嶋本先生の講演にあったように、RNAi効果を充分にもたらすためには、siRNAの安定性、細胞への導入方法、特定の組織・臓器へのターゲット技術に加えて、効果の高いsiRNAの配列決定等が非常に大きなポイントとなります。
 基調講演の間で企画された各関連企業による技術講演では、これらの課題を解決するために開発された最新技術について幅広い紹介がありました。さらには、RNAi効果を検証するための、新しい技術も大きな注目を集めていました。
 これらの技術改良によってRNAiを治療薬として用いることができるようになれば、治療薬開発に要する時間を大幅に短縮できることが期待できます。そこで重要となるのは、RNAiのターゲットとしてどういった候補遺伝子をさまざまな疾患で見出していくかということになるでしょう。創薬ターゲットの探索ツールとしてもRNAiは強力な威力を発揮しますが、本セミナーの講演にあった興味深い技術を最後に紹介します。
 産業技術総合研究所の三宅正人先生のグループでは、RNAiを細胞マイクロアレイと組み合わせることで、一度に数百もの遺伝子のloss of function解析を可能にするシステムを開発しました。この技術は基盤上にRNAを固相化した後、細胞を基盤上に播いて培養し、細胞にRNAを取り込ませるというリバーストランスフェクションの手法に基づいており、フィブロネクチンを導入促進剤として用いることが大きな技術的ポイントとなっています。三宅先生からは神経突起伸長に関わる遺伝子の解析や、乳癌細胞での網羅的なターゲットスクリーニングなど、この技術を用いた実際の解析例について紹介がありました。

 参加者にとって、RNAiの技術的課題やそれを克服するためのポイント、ならびにさまざまな応用の可能性を充分に学び取ることができた有意義なセミナーだったのではないでしょうか。熱心にメモをとり、質問を投げかける真剣な面持ちがとても印象的でした。このセミナーが、RNAiを活用したブレークスルーを生み出すきっかけとして役立つことを願っています。

 
 最後にこの場を借りまして、基調講演を賜りました先生方、開催にご賛同いただきました協賛企業ならびに、本セミナーにご参加いただきました先生方に改めて深く御礼申し上げます。

(文責:ダイアローグ株式会社)